背景画像
ENTRYENTRY

Project#2 みちのくの心意気

Project#2 みちのくの心意気
Project Member
広域営業推進部/食肉営業課 I.O.
I.O.
食品事業本部/
広域営業推進部/
食肉営業課
1993年入社
北日本飼料事業部/南東北飼料課 Y.K.
Y.K.
飼料事業本部/
北日本飼料事業部/
南東北飼料課
2007年入社
北日本飼料事業部/南東北飼料課 T.Y.
T.Y.
飼料事業本部/
北日本飼料事業部/
南東北飼料課
2010年入社

東北地方で育ったとうもろこしやお米を使った 国産穀物100%の配合飼料へ挑戦。

~ブランド豚肉 『みちのくの心意気』 誕生ストーリー~

Introduction

一般的に豚肉を育てるために必要な配合飼料は、とうもろこしや大豆などの穀類や搾油かすなどの食品副産物などを原料としており、そのほとんどが海外から輸入されています。
そのため養豚用飼料の国内自給率は非常に低く、現在50%前後※1とされている豚肉の自給率も実際はもっと低い水準だと考えなければなりません。(※1 令和4年度 重量ベース)
現在、国際情勢や為替の影響を受けて海外産原料の輸入価格が高騰し、特にとうもろこしはバイオエタノールなどの他の需要とも競合しているため非常に不安定な状況です。配合飼料の価格も高値で推移しており、多くの畜産農家が悲鳴をあげています。
その一方で、国内ではコロナ禍によるお米の消費減少や稲作の担い手不足などから水田農業の見直し(水田リノベーション事業)が進められていました。稲作は水の管理や除草作業などの手間が多く、担い手が不足している中でも農地を維持していくために、より省力的に生産できる作物への転換が検討されています。
畜産と稲作双方の課題の解決策として、“水田を活用したとうもろこしの生産”と“国産とうもろこしの飼料化”を企画し、2021年にプロジェクトを立ち上げました。

東北の地で育つ家畜飼料用の国産子実用とうもろこし
東北の地で育つ家畜飼料用の国産子実用とうもろこし

農家さんを一軒一軒訪問し 取り組みを説明して共感していただいた。

T.Y.
T.Y.

プロジェクトを立ち上げたばかりの頃、『水田でとうもろこしを作りたいが、買ってくれるところが見つからずに困っている農家がいる』というお話を聞きました。その農家さんと実際にお会いして当社の取り組みをお伝えしたところ、生産初年から40haもの広大な面積をとうもろこし畑にすると意気込まれ、非常に心強いパートナーを得ることができました。

当社は稲作農家さんとの接点がなかったため、行政の方や農機具メーカーの方々にご紹介いただきながら一軒一軒訪問し、取り組みを説明することから始めました。

T.Y.
T.Y.

「行政の方々にご協力いただきながら、東北各地で稲作農家さんを集めたセミナーも開催しました。当社からは国内畜産の現状や課題、国産とうもろこしの必要性などをお伝えし、研究機関や農機具メーカーの方々には生産技術についてご講演いただきました。そのような地道な活動が実って、とうもろこしを作ってみようという農家さんの数が次第に増えていきました。

2022年に宮城県や岩手県内のほんの一部で始めた取り組みですが、2023年には青森県や秋田県にまで農家さんの輪が広がりました。収穫量もこの1年で約4倍に増え、2024年は更に増える見通しです。

国産とうもろこし生産契約農家一覧
宮城県涌谷町をはじめとした県内各地、さらには青森、秋田、岩手各県でとうもろこしを生産

国産穀物100%で育てた豚 『みちのくの心意気』 の誕生

収穫したとうもろこしと国産の飼料米を合わせて、飼料中の穀物原料全てを国産にした“国産穀物100%飼料”を開発しました。この飼料は宮城県内の養豚農家さんで使っていただいており、その農家さんで育てられた豚を当社で販売しています。
その豚肉には『みちのくの心意気』という名前をつけました。
この名前には、とうもろこしの生産農家さんや養豚農家さんをはじめ、前例のない挑戦に関わってくださった東北のみなさんの心意気に対する感謝の気持ちを込めています。
2022年は首都圏のスーパーマーケット向けにテスト販売を行い、またこの活動と『みちのくの心意気』の魅力を消費者の方々により伝えるためのブランドロゴやポップなども作成しました。

国産穀物100%で育てたブランド豚『みちのくの心意気』
ブランド豚『みちのくの心意気』の販売
国産穀物100%で育てたブランド豚「みちのくの心意気」を販売
I.O.
I.O.

2022年には、とうもろこし畑近隣の小中学校4校の給食に『みちのくの心意気』を提供しました。自分たちが食べているものを身近に感じてもらうことで、海外に依存している食の現状や地産地消に関心を持ってほしいという思いがあります。おかげさまで学校の給食だよりや地元の新聞などにも取り上げていただき手応えも感じています。

多くの肥料を必要とするとうもろこし畑には畜糞から作った堆肥がとても役に立ちます。この取り組みをきっかけに、とうもろこしの生産農家さんと畜産農家さんとを堆肥でつなぐ循環型農業の仕組みもできつつあります。

『みちのくの心意気』を全国のスーパーマーケットや生協などで販売し、たくさんの人に食べてもらいたい。

I.O.
I.O.

『みちのくの心意気』は、これから本格的に販売していきます。肉質のキメが細かく、ジューシーで雑味やクセが少ない、とても食べやすい豚肉に仕上がりました。販売先のプロフェッショナルの方々にもお墨付きをいただいており、味には自信があります。『みちのくの心意気』がもっと評価されて売れるようになれば、同じような取り組みが全国規模で増えていくと思います。

食に危機感をもっている人たちが、 『みちのくの心意気』を通じて“ワンチーム”になった

今回の取り組みには、とうもろこしの生産農家さんや養豚農家さんはもちろん、行政や研究機関、農機具メーカー、飼料販売店、精麦会社、種苗会社など、とても多くの方々が関わっています。これまで接する機会が少なかった業種や団体が互いに手を取り合い、1つのことに向かっていく様子に勇気づけられました。

Y.K.
Y.K.

世界の人口は増加し2050年には“タンパク質危機(クライシス)”が訪れるともいわれているなか、日本の食料自給率を何とかしなければいけないと感じている人は少なくありません。ですが1人でできることには限りがあります。私たちも食に携わる者としてこの課題に取り組まねばならないという思いはありましたが、事業として実現することがとても難しかった。『みちのくの心意気』を通じて、たくさんの出会いがあり、つながりができ、同じ危機感を持った人たちが“ワンチーム”になってそれを実現することができたんです。

『みちのくの心意気』を通じてできた“輪”を東北以外にも広げていきたい。

Y.K.
Y.K.

当社の取り組みも国内全体から見ればまだわずかなものですし、現実は多くの原料を輸入に頼らざるをえません。ボリュームや設備、採算が合うのかどうかなどの課題やリスクがとても多くて、一気に進めることはできません。ただその一方で、同じ思いをもっている人が想像以上に多いことも分かりました。穀物だけじゃなく“国産原料100%の配合飼料”も夢じゃないと思っています。当社には『何でもやってみよう』『何でもやってみなさい』という企業風土があります。許される限り、諦めずに挑戦を続けていきたいです。

耕種農家、畜産農家をはじめ、自治体、メーカー、研究機関、畜産加工会社など多くの方々の取り組み
耕種農家、畜産農家をはじめ、自治体、メーカー、研究機関、畜産加工会社など多くの方々の取り組み
耕種農家、畜産農家をはじめ、自治体、メーカー、研究機関、畜産加工会社など多くの方々の取り組み
耕種農家、畜産農家をはじめ、自治体、メーカー、研究機関、畜産加工会社など多くの方々が取り組みに関わりました

2023年、環境省主催の 「グッドライフアワード 実行委員会特別賞」を受賞

ブランド豚肉『みちのくの心意気』とその一連の取り組みが、環境省主催の第11回グッドライフアワードにおいて「実行委員会特別賞EXPO2025 いのち動的平衡賞」を受賞しました。
グッドライフアワードは、環境省が提唱する「地域循環共生圏」の理念を具現化する取り組みを表彰し、認知を広げることを目的としたプロジェクトです。「EXPO2025 いのち動的平衡賞」は、いのちやモノが循環し、常に入れ替わり続けることを前提とした「利他的」な取り組みを表彰するもので、実行委員である福岡伸一氏が2025年の大阪・関西万博においてプロデュースするシグネチャーパビリオン「いのち動的平衡館」に関連した賞です。

授賞式の様子 左:実行委員長 益田文和様 右:当社社長 正好邦彦
授賞式の様子 左:実行委員長 益田文和様 右:当社社長 正好邦彦
Y.K.
Y.K.

初めての取り組みで、見えないリスクや課題がたくさんあります。それらを分かった上でなお、取り組みに共感いただいた農家さんや取引先の方々、『やってみなさい』と背中を押してくれた経営陣や上司、いろんな人がまさに“利他的”に同じベクトルを向いたことが受賞した一番の理由だと思います。当社のような飼料会社こそが取り組まなければならないことだと思いますし、その意義やビジョンが評価されたことは関わった全ての方々にとって誇れるものなんじゃないかなと感じています。

背景イラスト

ENTRY エントリー