有限会社 |
本社所在地 | 大分県豊後大野市 | 肥育豚種類 | ハイポー |
農場規模 | ♀165頭・一貫 | 出荷基準体重 | 118kg以上 | |
年間出荷頭数 | 4,800頭 | デジタル目勘 導入時期 |
2020年5月 | |
従業員数 | 6名 | デジタル目勘 利用台数 |
1台 |
本社所在地 | 大分県豊後大野市 |
農場規模 | ♀165頭・一貫 |
年間出荷頭数 | 4,800頭 |
従業員数 | 6名 |
肥育豚種類 | ハイポー |
出荷基準体重 | 118kg以上 |
デジタル目勘 導入時期 |
2020年5月 |
デジタル目勘 利用台数 |
1台 |
代表取締役 後藤 祐三 様
デジタル目勘との出会いとなった講演会
デジタル目勘との出会いは、18年6月に開催された「大分県養豚協会」の講演会だったと思います。伊藤忠飼料の福永さんが「スマートフォンで豚を撮影すれば体重が分かるアプリを開発中」だと説明され、その後の懇親会で意見交換した際、既に専用端末化を見据えて開発を進めていることも聞きました。養豚業界の機器は、新しく発売されてもなかなかモノにならないことが多く、私もいろいろ購入しては失敗してきました。「もしちゃんとした機械になれば、これは素晴らしいことだ」と思ったのを良く覚えています。
翌19年10月に発売開始の案内を受けましたが、CSFの拡大もあり、20年5月から「さてどんなものか」と1台導入しました。
私も20年近く、自分で体重測定をやってきました。でもさすがに今は出来ません。体重測定は本当に重労働であり、きつい作業です。当農場では週2回出荷する豚は全て計量します。週におよそ90頭、118kgを基準重量とし、約130頭ほど体重測定します。油断すれば怪我につながることもあります。自分が出来ないからといって、これを若い人に強いるのもあまりに酷な話でしょう。
それだけに、この体重測定をラクに出来る道具の登場を待ち望んでいました。出荷豚の体重測定をしなくて良くなれば、女性だけでも作業が出来ます。こうした省力化機器がどんどん実用化してくれば、日本の養豚業も変わっていくでしょう。これからの養豚に大事なのは「重労働からの解放」だと思います。
後藤社長(左)との意見交換の様子
導入して最初の3ヶ月間使ってみた正直な感想としては、ハッキリ言って「使い物にならん」でしたね。(笑)
我々が操作に慣れていなかったのもありましたが、使いにくかった。具体的には、精度良く撮影するには水平をシビアに維持しなければならず、最初はこれが難しい。しばらくは使わずに眠らせていましたよ。
ただデジタル目勘は「進化してバージョンアップする製品」と聞いていました。普及が進めばソフトウェアは改善するだろうと、営業さんにはこちらの要望を伝え、信じて待つことにしました。
豚舎内の様子
そして今年2月、約束通りバージョンアップして、自動撮影機能が付きました。これでずいぶん使いやすくなりました。まずは及第点、60点はクリアというところかな。厳しいですが、ここで満点を出して技術の進歩が止まると困りますから。バージョンアップ後から本格的に選畜で使い始めました。デジタル目勘だけで行った3回の出荷は上中物重量の範囲に9割入りました。従来は4人1組でしたが、撮影1人と記録1人で出来ます。満足の結果であり、まずまずの滑り出しと思います。
今は撮影に慣れるため全頭を撮影していますが、将来的には全頭を撮影する必要は無いと考えています。なぜなら人の目勘も鍛えられてくるので、明らかに大きいやつ・小さいやつは撮影時に除外すればいい。いくつか基準豚を作り、人の目勘と組み合わせる方法もこれから試す予定です。全て機械に頼るのでは無く、人の感覚と組み合わせて使う新しい製品だと思います。
今は130頭の撮影に2時間半程度かかりますが、慣れれば1時間半程度で撮影できる手応えはありますね。
代表取締役 後藤 祐三 様
撮影時間の短縮にはミスショットを減らさないといけません。今の自動撮影は豚が他の豚や壁とくっつくとシャッターが降りません。約14頭/房なので、豚がどうしてもくっつきます。精度を高めるための措置だと理解はできますが、さらなる工夫に期待します。それからシャッターを切るタイミングをさらに短くしてほしいですね。豚が動く中、撮影はワンチャンスです。撮影速度が上がれば、その分作業効率は高まります。
あとは午後になると豚舎に西日が射し込み、撮影に干渉します。これが改善できれば大幅な時間短縮になります。撮影豚房にはコンパネで影を作るなど、運用でカバーしようと思います。しかし、日々の選畜にデジタル目勘を使い始めてみて、私も「確かに、これは豚衡機に戻れないな」と実感しています。やはりラクですから。デジタル目勘を使うなら、豚衡機と精度を比較するのは意味がない。デジタル目勘の推定値を記録し、毎回の格付結果と推定値との傾向を捉えることが大事でしょう。
私は「重労働からの解放」に繋がる技術開発をこれからも応援していきたいと思います。
2021年3月取材